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Q&A水俣病3:責任はだれにあるのですか?


現在の百間排水口(撮影 番園寛也)


実験ネコの発病を隠したり、原因究明を妨害したりして垂れ流しを続けたチッソの責任はもちろん重大です。「チッソは水俣病の認定患者に対して補償する責任がある」と、1973年の熊本地裁判決で確定しました。


しかし、同時に問われるのは、水俣病が発生した1950~60年代の国や熊本県の責任です。「原因物質がわからない」間でも、「水俣湾の魚を食べると発病する」ことはわかっていたのだから、水俣湾の魚を獲ったり売ったり食べたりすることを禁止するべきなのに、それを怠りました。また保健所による食中毒の調査も行われませんでした。警察等による工場への捜査や行政による操業停止命令も一度も出されませんでした。海の汚染や患者の発生を止める対策を取らなかった行政の姿勢も、水俣病被害をここまで広げた大きな原因です。


物を作れるだけ作り、売れるだけ売る。そういった工業生産を推し進める通商産業省*が、健康被害や漁業被害を調査する厚生省や水産庁を脅かし、脅かされた方はスゴスゴと引き下がり、原因究明を続けていた国の調査会を1959年に任期途中で解散させてしまいます。はるか後、2004年に最高裁は「国と熊本県にも水俣病加害責任がある」との判決を出しましたが、それは公式確認から48年も経ってからのことでした。

*通商産業省は現在の経済産業省。厚生省は現在の厚生労働省


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